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レスベラトロールについて
2015年5月~2016年1月 Resveratrol最新治験
レスベラトロールは老化ラットの認知能を改善する
月齢20の雄老化Wisterラットに、レスベラトロール(RSV)を20 mg/kg/d、慢性的に4週間投与した。老化ラットには加齢関連神経化学的パラメーターの低下が認められたが、RSV投与により、その低下が回復した。
RSV投与で松果腺、海馬、線条体のセロトニン濃度が上昇し、海馬のノルアドレナリン、線条体のドーパミン濃度が上昇した。
これら上昇は、トリプトファン・ヒドロキシラーゼ(TPH)-1の活性上昇(松果体463%)、TPH-2の活性上昇(海馬と線条体70~51%)、チロシン・ヒドロキシラーゼの活性上昇(海馬と線条体150~36%)によると考えられた。海馬における効果は作業記憶改善と一致した。
[F. Sarubboら: Age (Dordr), 37(3), 9777 (2015)]
レスベラトロールの尿代謝物からの疫学調査
レスベラトロール(RSV)の種々の疾病、心臓病やがんに対する報告は多いが、疫学データは少ない。食物のRSV含有データを含むPhenol-Explorerが開発され、RSVの摂取量が今後、明らかになると思われる。
また、栄養バイオマーカーとして、尿中のRSV代謝物を測定することにより、更に正確なRSV摂取量が求められる。
これらの疫学データから、RSVは総死亡率、がん、心臓病に直接相関しないが、血清ブドウ糖や中性脂肪レベルを有意に改善し、心拍数を有意に減少することが示された。
以上から、RSVが心臓病に良いことが示唆されるが、証拠はまだ少ない。
[M. Rabassaら: Ann N Y Acad Sci, 1348, 107-115 (2015)]
レスベラトロールは海馬の不溶性Aβ-42を減少する
ラットを6群に分け、
①卵巣摘出(OVX)、D-ガラクトース100 mg/kg群(OVX + D-Gal)
②~④OVX、D-Galおよびレスベラトロール(RSV) 20、40、80 mg/kg処理群
⑤OVX、D-Galおよびエストラジオール0.8 mg/kg処理群(ET)
⑥シャム対照群とした。
12週後、RSV 40および80 mg/kg処理群は、OVX + D-Gal群と比べ、海馬のアミロイドβ(Aβ)1-42が有意に低く、これは終末糖化産物、MMP-9、NF-κBの減少とClaudin-5の上昇を伴った。RSVはAβ1-42を減少させるだけでなく、脳血管バリアーの完全性も改善することが示唆された。
[H.F. Zhaoら: Neuroscience, 310, 641-649 (2015)]
レスベラトロールは老人のフレイルを抑制する
キァンティ在住で65歳以上の769名について、レスベラトロール(RSV)摂取とフレイル症候群(FS)の関係を調べた。
食物からの総摂取RSV (TDR)は、食物摂取頻度と食物に含まれるRSVデータベースを用い、更に、尿排泄総RSV (TUR)も測定した。身体能力低下(フレイル)を萎縮、疲労、座時間、緩慢、虚弱の5基準にて評価し、 ≥3をFSとした。
3年間のフォローアップで、TDR+TURはFSと逆相関し、4群に分けた最大群は最小群に比べ、オッズレシオ(OR)は0.11(0 = 0.002)であった。しかし、6年および9年後のフォローアップでは有意性はなかった。少なくとも最初の3年間は、RSV高摂取はFSを低下させた。
[M. Rabassaら: Am J Clin Nutr, 102, 1534-1542 (2015)]
ε-ビニフェリンは食物誘導の肥満を防ぐ
ε-ビニフェリン(I)はトランス-レスベラトロール(tRSV)の2量体で、赤ワインにはtRSVと同様、かなりの量が含まれる。
(I)は繊維芽細胞3T3-L1培養系にて、高い抗脂肪細胞産生活性を示した。また、高脂肪餌投与マウスでは、(I)はtRSVより高い抗肥満および抗炎症活性を示した。
赤ワインに含まれる成分として、(I)はtRSV同様、代謝障害に対する活性が期待できることが示唆された。
[K. Oharaら: Biochem Biophys Res Commun, 468, 877-882 (2015)]
レスベラトロール Q&A
【Q】ご質問
『米国のテレビで、欧米式の食事に含まれるレスベラトロールが心筋梗塞とかに、何も効かない。
実証はない』と放送していました。
『赤ワインに豊富に含まれているレスベラトロールに人を長生きさせる効果は見受けられなかった』とネットで読みました。
実際のところどうなんですか?
【A】佐藤先生(ブドウ由来レスべラトロール協会・顧問)のコメント
インターネットの記事は、至極当然のことと思います。
通常のワインなどに含まれるレスベラトロールの量は、かなり少なく、 効果の出る量ではないからです。
フレンチパラドックスも、アルコールの効果が大きく、 赤ワインのポリフェノールも貢献していますが、 レスベラトロールが利いているとは、なかなか言いがたいと思います。
しかし、ヒト介入試験などで明らかなように、一日10mg程度摂取すれば、効果が出ています。
赤ワインに含まれる平均的なレスベラトロール量は約1mg/リットルです。
10mgをワインで摂ろうとすれば、10リットルも飲む必要があり、
アルコールの害が問題になります。
だからこそ、サプリメントでの摂取に意味があるのだと思います。
ただし、認知症改善には1mgで十分だと思います。
レスベラトロールはポリフェノールの一種です
レスベラトロールはブドウなどに含まれるポリフェノールの一種です。
赤ワインの健康効果やフレンチパラドックスは昔から有名ですが、赤ワインに含まれるレスベラトロールがそのカギであると、科学的な研究が進められています。
なぜブドウ由来が良いのか?
【トランスレスベラトロール】【ε-ビニフェリン】【ピセアタノール】
ブドウから作ったレスベラトロールには、レスベラトロールの二重体である「ε-ビニフェリン」など、複数のレスベラトロール類(オリゴマー類)を含んでいます。
イタドリ由来のレスベラトロールは、オリゴマー類を含んでいません。
【ご注意】
海外の安価なレスベラトロールにはイタドリが使われていることが多く、イタドリは日本ではサプリメントには使用できません。刺激臭のあるものには特にご注意ください。
また、ブドウ原料ではないレスベラトロールを使った商品が、ブドウや赤ワインの写真を使って誤解を誘うケースが報告されています。
レスベラトロールと健康
レスベラトロールの優れた効果は「Nature」「SCIENCE」などでも発表されています。【“長寿遺伝子”サーチュインの活性化:長寿&アンチエイジング】
レスベラトロールはサーチュインを活性化します。
現代人の食生活ではサーチュインは活動しないままの人がほとんどです。
本来、サーチュインを活発にするには、食事のカロリー制限を続けなくてはいけません。
そこで、カロリー制限をしなくともサーチュインを活性化する存在としてレスベラトロールが注目されています。
【メタボリックシンドローム・肥満対策】
サーチュインは脂肪細胞のタンパク質「PPARγ」の働きを抑制します。
脂肪の貯蔵を担当する「PPARγ」を抑えることで、脂肪を増やしにくくします。
また、サーチュインはミトコンドリアを修復します。
ミトコンドリアが活発に活動すれば、脂肪の燃焼もまた活発になります。
レスベラトロールには、脂肪の貯蔵を抑え、燃焼を促す効果があるのです。
【脳・認知症・アルツハイマー対策】
記憶の中枢である、「脳の海馬」。この脳経細胞を活性化・再生し、認知機能を改善します。
また、脳で発生する酸化ストレスを抑え、脳神経を保護します。
【抗炎症作用】
NF-κBの働きを抑え、炎症関連因子の産生を抑えます。
【美容&美白作用】
メラニンの生成を抑えます。
また、コラーゲンの分解酵素、ヒアルロン酸の分解酵素の働きを抑制します。